八雷神面
9世紀の仏教説話『日本霊異記』には、雷の申し子である道場法師が元興寺で鬼を退治する話が登場します。その際の形相が八雷神とされ、信仰の対象となりました。 江戸時代には、観音堂などの修復のためにしばしば開帳され、その霊験を広めるために『八雷神面略縁起』が作られました。
当初は「厄除け」や「火除け」の御利益が謳われ、版木が作られ、護符が摺られていました。
その後、19世紀には雨乞いのために開帳されるようになり、県内の農村から貸し出しを希望する声もあったと伝えられています。また、奈良奉行であった川路聖謨が訪問した際には、厨子に収められていたことが記録されています。

(岡田啓・野口道直-編、小田切春江-画)
(出典:国立国会図書館デジタルコレクション)
八雷神面の縁起-あらまし
告げられ、その後、霊蛇をまとい怪力を持つ男児が生まれました。この子は宮中で「百々(だ
だ)の力童」として力士となり、のちに元興寺で出家して「道場法師」と
呼ばれます。彼は雷神の化身として鐘楼の悪鬼を退治し、その姿を写し
て「八雷神の神面」が作られました。この神面には、疫病や災難、雷火、
さらに生霊・死霊や邪鬼をも除く力があり、「元興寺にかまし
やう」という言葉は悪魔退治を意味する表現として残り
ました。
(八雷神面御守カードをお求めの方には、当縁起文
全文現代語訳も差し上げております)
大岡春卜画『卜翁新画』|
UC-Berkeley-
East-AsianLibrary
版木一覧
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江戸版木・小(摺物) 写真提供: 元興寺文化財研究所 -

江戸版木・大(拓影反転画像) 写真提供: 元興寺文化財研究所
本寺院には、江戸時代に用いられた八雷神面護符の版木が大小2枚現存しており、明治・大正期の荒廃から復興を進めた水野圭真和尚も、この版木を用いて護符授与を復活させたと伝わっています。
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令和版木
令和八年、新たに考案された「令和版 八雷神面護符」は、その歴史ある版木の伝統を引き継ぎつつ、八雷神面返還という大きな節目に際して新たに刻まれる「現代の護符」 となります。
令和八年二月、七十六年ぶりにこの八雷神面は当寺にお戻りになられました。
この帰還を復興の第一歩とし、中世以降にぎわった南都での厄除信仰を復活させたいと願っております。
この八雷神面が疫病、事故、雷や天変地異による災害にわたしたちが翻弄されないよう祈りを支えてくれる拠り所となってくださればと思います。